ギターアンプや電源等々に高級オーディオのノウハウを提供しているミュージシャン夫婦のレコーディングに立ち会うために、淡路島の南端にあるスタジオ・チキンジョージ・サザンアワジ(兵庫県南あわじ市)に行ってきました。
有名なアーティストだと奥田民生さんや元T-SQUAREのドラマー則竹裕之さんなどがこのスタジオを使っておられるそうです。
調整室内
やはりヤマハの有名なスタジオモニタースピーカーNS-10Mが置かれています。
オーディオ・ホームシアターアドバイザー側からみると、家庭で音楽を楽しむという観点からは全くおすすめできないスピーカーですが、スタジオでモニタリングするにはサイズ的にも価格的にも最適なのです。音楽を聴くというよりも、音楽を視るという感じの鳴りっぷりです。間違い箇所の特定や音量・音質を調整するために設計されており、レコーディングエンジニアでさえ家で音楽を楽しむのはこのスピーカーではありません。
スタジオ内ではベースとドラム&パーカッションパートが先にレコーディングします。
もっと張り詰めた空気かと思いきや、わりとリラックスされていますね~
ギターとボーカルパートは後で別録りです。スタジオ内のパートが迷わないように、調整室で一緒に演奏してタイミングを図ります。
このときに重要なのが、モニタリングヘッドフォンです。全員が装着して聞きながら、遅くなったり早くなったりしないようにします。 ほとんどのスタジオで使われているのがソニーのMDR-CD900STという製品です。これもヤマハのNS-10M同様、スタジオ専用です。音楽を楽しむという性格はありません。勘違いして一般ユーザーが買っているようですが、私など1分も聞いてられません。音楽というよりも音そのものをあからさまにしてしまうので楽しくないのです。
一見普通のコンセントですが、今回持ち込ませていただいたコンセント。ベースアンプに繋げています。
こちらは先程のものと似ていますが、配線材は数倍高価なものを使っています。エフェクターに使っています。
発電所で作られたエネルギーを交流という波の形にして送られてきます。直流だとノイズが音の揺らぎとなるためノイズフィルターなどを入れると効果的なのですが、交流だと勝手がかわります。
波を糸にのせて伝える糸電話に例えますと、糸をピンと張り、細くしたほうが相手によく伝わります。ノイズフィルターのような回路を入れてしまうと、糸電話の糸を弛ませたり遠まわりになってしまうのと同じで波の伝達が悪くなります。
これらのコンセントはノイズフィルターは入れていません。電線を糸電話の糸をしっかりと張るのと同じ考え方で銅の強度と密度を高めたものを使っています。電力を多く伝えるためにやみくもに太くする必要が無いのです。オーディオ用でも高純度の銅は多く使われていますが、銅の密度までこだわった電線は皆無に等しいです。
これは真空管ギターアンプ。真空管の接点を丁寧にクリーニングして、ハンダを一部修正しています。工業的にハンダづけされた基盤は、キレイにみえますが必ずムラがあります。特にギターやベースアンプのように感度が高いものを増幅するものの内部では、それがコンデンサーやコイルのような回路として振る舞ってしまいます。そこで一旦固まったハンダを手作業で一つ一つ溶かしてゆきます。そして1kgあたり10数万円もする特殊なハンダを流し込みます。この製品は外国製のため、これまで電圧を100から115Vへトランスで上げないとパワーのある音が出なかったのですが、100Vでもそのパワーのある音が出るようになりました。それだけでなく持ち込ませていただいた電源コンセントとの併用で、大幅にハウリングが減ったのです。ハウリングは演奏者にとっては悩みの種で、自身が演奏している楽器の音とズレて出てしまうため混乱の原因なのです。
いろいろな悩みが改善されたことにより、演奏者だけでなくスタジオのエンジニアさんにも効果を感じていただきました。オーディオ機器の業界で培ったことが、ミュージシャンやエンジニアにまで役立つようにしてゆきたいと思います。
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