2014年11月18日火曜日

野生種と養殖種のミツバチの習性の違いによる蜂群崩壊症候群の発生度合の考察

先日の新聞記事に「蜂群崩壊症候群」のことが書かれていました。
http://mainichi.jp/select/news/20141112k0000m040099000c.html
 

昨今問題になっているミツバチの失踪や大量死の原因は詳しく分かっていませんが、その可能性の一つに、ネオニコチノイドなどの殺虫剤や除草剤などの化学薬品の影響が上げられています。野生のニホンミツバチよりもセイヨウミツバチの方が大きく騒がれているように思います。その要因は野生種と養殖種の習性の違いにあると考えています。
セイヨウミツバチは、ハチミツを採るという目的のために人間の都合に合致する種を選抜に選抜を重ねて現在に至っています。その主なものは、
1、体が大きくて働き蜂の数が多い(をたくさん集められる)
2、巣を放棄しない(環境の変化に強い→密源を求めて移動させやすい)
3、同じ蜜源から集中して蜜を集める(単一の花のハチミツが作りやすい)
などです。
そのうち、3番目の「同じ蜜源に集まる」という習性です。これは「レンゲハチミツ」「ミカンハチミツ」「アカシアハチミツ」などの単一の花からのハチミツを作るのには非常に都合がよいです。その花が大量に咲いている場所に巣箱を持ってゆけば混じり気のない純粋な花蜜が採れるわけですから。
しかし、同じ花が大量に咲いている場所は自然にはあまりありません。ほとんどは人が管理している場所でしょうから、除草剤や殺虫剤などの農薬を使っている可能性も高いですね。農薬を含んだ花蜜を集め、水分を徹底的に蒸発させて長期間保存できるようにしますから、溶けている農薬も濃縮されます。しかも養蜂家は季節ごとに蜜源を求めて、いろんな花が大量に咲いている蜜源を渡り歩くので、常に農薬を濃縮し続けているのです。

もともと体の小さいニホンミツバチの方が薬物に対する抵抗力は小さいと思われますが、なぜ影響が少ないのでしょうか?
それは行動範囲の半径2kmの中からまんべんなく蜜を集める習性があるからです。リスク回避というよりは、野菜によって栄養素が違うように花によっても栄養素が偏らないようにしているのだと思います。野生種は健康にも気を配っているのですね。

ニホンミツバチが比較的おとなしく、人を刺さない理由もこの習性の違いにあるのですが、これはまたの機会にお話したいと思います。


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