2016年1月4日月曜日

丹生川上神社 下社で宮司さんのお話しに感動(奈良県吉野郡下市町)

丹生川上神社 下社(奈良県吉野郡下市町)にお参りに行ってきました。
最古の神様を奉る神社だそうですが、この神社へお参りする価値はそこではありません。
ここの宮司さんのお話しが、忘れかけてきた古来よりこの国に伝わってきた精神を呼び起こさせてもらえると思うのです。宮司さんのお話しを聞くのは2回目、昨年4月に葛城市ギャラリーら・しいさんでの講演を聞かせていただき、そこで感銘を受けたのが最初でした。

今回うかがったのは「言挙げせず」のお話しでした。このお話しはお参りに来た方に毎回されるそうですが、「言挙げる」とはどう言うことなのでしょうか?
私は、「言葉で物事を考える」という意味にとらえました。そんなことは当たり前のことだと思ってしまう方が多いと思いますが、言葉で物を考えると論理的になってしまい、白黒はっきりとした答えを導く事が目的となってしまいます。そのために、相手と会話していると相手の矛盾点を突いたり、水掛け論となってしまう事がしばしば起こります。そこで「言挙げせず」の精神が意味をもってくるのです。
言葉で物事を考えなければ、相手なら「こう思うかもしれない」「こういう立場に置かれてしまっているかもしれない」などと相手の立場をお互い尊重しながら会話ができます。そこには衝突が一切おこりません。もともと日本は「言霊」という思想がありましたが、言葉に魂が宿る事を知っていたため、言葉については非常に慎重だったはずなんです。

この名物宮司さんは、この下市町に住んでおられたわけではありません。現在でも葛城市にお住まいで通いの宮司さんでいらっしゃいます。もともとの丹生川上神社 下社宮司さんが高齢で跡取りもいなかったためお声がかかったそうです。はじめは断っていたそうですが、こちらの神社にとっても死活問題であまりにも熱心に声をかけてこられるので、次の運営方針を認めるのを条件に引き受けたそうです。
・ご利益を説かない
・広告はしない
・イベントは行わない
・境内を華美にしない
そんな運営方針であったにもかかわらず、この宮司さんが着任されてから6月の例大祭には最初10人だった参拝者が年を重ねるごとに増えてゆき、現在では1000人を超える人が訪れるようになったそうです。もちろん広告などは一切していないのにも関らずです。なぜでしょう?
そのことについては触れられませんでしたが、この宮司さんのお話しの中から本当に敬うべき古来より信じられてきた「」の存在を見ることができるからではないかと思っています。

以前、例大祭の時に下市町の町長さんが参拝者に向けて「パワースポットへようこそ」というような発言をされたそうなんですが、参拝者の中から「そのようなところに来ているのではない!」という声が上がったそうです。 ですから、この宮司さんと丹生川上神社 下社をセットにお参りしにこられているのです。

宮司さんのお話しを聞きにいらっしゃる方はいろんな方面から様々です。映画監督の河瀬直美さんや大英博物館の学芸員ニコル・クーリッジ・ルマニエール教授です。少しでも日本の文化を解明しようと必死なのだそうです。とくにニコル氏が言うには、ヨーロッパでは日本の古代文化の研究が現在すごく盛んで、土偶が何万個もヨーロッパで保管されているそうです。そんなニュースは日本でも報じられることはありません。敗戦後、急速に欧米化して忘れ去られようとしている日本人の心がこの丹生川上神社 下社に残っているように思えてなりません。

0 件のコメント:

コメントを投稿