2014年8月29日金曜日

心踊るタイトル「エネルギー自給自足時代がやってきた」だったはずなのに・・・

エネルギー自給自足時代がやってきた
このタイトルを見た瞬間、心が踊るような気持ちがしました。2011年3月の東日本大震災以降、大資本にエネルギー生産を任せっきりになっていたのが、自らが使う分は自らが生産しようという気持ちに大きく傾き始めていることを肌で感じているからです。特に電気は大規模に生産しなければ非効率であると信じ込んでしまっていたのが解放されるように、ここ2年くらいであちらこちらに太陽光発電パネル小水力発電用の水車が増えてきています。
この本はそれより以前の2008年に出版され、すでに絶版となっていました。震災が起こる3年も前に、このような動きを予測して行動を開始している人がいたのかと感心し、偶然Amazonで出ていた古書を注文しました。
田舎の過疎化した耕作放棄地に太陽光発電パネルを設置し、その電気電気分解して得られる水素を様々なエネルギーとして活用しようという内容であった。非常に壮大な構想で好感が持てるのですが、内容はコストと収益の計算ばかりである。著者の経歴を見ると川崎重工、日立造船のエンジニアだったと書かれてあったのに、その経験から日本の重工業がこの構想でどう活かせられるかなどの内容は全くありませんでした。
発生した水素を燃やしてエネルギーにするとガソリンの何リットル分のエネルギーと同等なので、ガソリン価格に換算するといくらの収益が上がり、過疎地の農家に大量のマネーが流れ込む。よって過疎地に人口が戻ってゆく好循環だとか書かれていたが、ガソリン価格はほとんどが税金であるし、農業に従事していた人々がお金に目がくらんで食料生産をやめてしまったらどうするの?とか見通しが甘すぎてツッコミどころが多すぎでした。
この内容からは、プロジェクトへの情熱を感じることができず「かかるコストと儲けの計算は私が済ましたからあとは誰かが実現してね」というような無責任な印象しか感じることが出来ず、だれもそんなリーダーに付いて行こうとは思うはずがありません。自身が元エンジニアであれば、技術的な観点から水素を発生させる実験を提示するとか、企業に取材に行って将来役立ちそうな技術を見つけてくるなどができるはずです。
私はエネルギーはタダにちかいものであると思っています。もともと石油は地球が長い年月かかって産み出したものですし、太陽エネルギーも誰にも差別無く公平にいただくことができます。私が扱っている薪ストーブの燃料である木材も、太陽や地球が育んだものです。人々がそれを利用しやすい形に加工して、提供してくれている苦労に対価が支払われることが大事であると思います。農家が石油と同等のエネルギーを産み出すことにより、石油と同じ収益が見込める未来を提示されても、飛びつくのは欲に目が眩んだ人だけです。
それよりも、「エネルギーを国内でタダに近い値段で生産できるようになり、国民がこれまで無駄に支払っていたコストが減り幸せに暮らせます。それにより石油化学などの一部産業が無くなり、国民総生産は減ることになるかもしれませんが、外国へ支払っていた無駄なエネルギーコストが減るのですから心配はいりません。豊かな自然から得られる材料を国産エネルギーをふんだんに使って、安全で素晴らしい材料や新しい産業を作っていけるかもしれません。」って言うほうが、きっとたくさんの人の共感が得られて、実現に向かうと思うのです。
著者の小林正氏には、2011年3月以降の大変化をふまえてエンジニアの視点から、もう一度新しい水素社会を夢見た本を出版されることを望みます。


 

2014年8月25日月曜日

若い世代に対して愚痴がでる前に読んでほしい「”ゆとり世代”を即戦力にする50の方法」

1年以上前に買って放ったらかしになっていた本を読みました。
その名も「”ゆとり世代”を即戦力にする50の方法」
ここ10年くらいの間にいろんな方から、「ゆとり世代」に対する愚痴のようなものを聞くのですが、聞けば聞くほどそれは自分たちとの生きてきた時代の違いによる価値観の相違だけだと感じていました。
愚痴を言いだすと、その「ゆとり世代」の人たちをどのように付き合って、どうやって育ててゆくかの思考が停止してしまいます。しかし、愚痴を言っている人たちも年老いてしまい、若い世代に引き継いで行かなければならないことは確実なのです。
それを「ゆとり世代」の人の目線に合わせて非常にわかりやすく書いてくれていました。
初めの半分は、「ゆとり世代」が育った時代背景、その親が育ってきた環境などを理解することからはじまります。そして理解に苦しむような行動を起こした時、どのような思考で起こしてしまったか?どのようにしてあげれば良いかなどの具体的な方法へとつながってゆきます。
さらに彼らの年代が優れている部分をもっと伸ばしてあげるためにすることなど、応用編へとつながっています。
1つのセクションが2~3ページで完結しているので大変読みやすかったです。

この本の全体を通して感じたことは、「人は、自分を理解してくれる人を信頼する」 ということです。まずは相手が生きてきた時代背景を知ることにより、相手の行動について一定の理解ができると思うのです。理解してあげることにより、相手からの信頼が生まれると思うのです。「部下は上司に従うのは当たり前」という考え方は若い人になればなるほど通じなくなっています。変わらないといけない人たちは、実は我々なのかもしれませんね。
「いまの若い連中ときたら・・・」ってのが口癖になる前に読んでみてはどうでしょうか(^O^)/